【任意整理の事例1|過払い金で大幅な負担軽減ができたケース】

過払い金で大幅な負担軽減ができたケース

任意整理を実際にやったら、どんなやり取りになるのか?

 

弁護士が書いた本(※)に実例が出ていたので、そのアウトラインを紹介します。

 

1例目は過払い金が大きかったために、依頼者にとって非常にいい形に解決できた例です。

 

詳細を知りたい方は下記の本を入手してください。

 

会話の様子や使う書類の見本まで収録された良書です。

 

※「事例に学ぶ債務整理入門」 民事法研究会刊

 

依頼者の状況

依頼者(乙野乙郎)はトラックの運転手。

 

サラ金からの借金は20年前に始まり、現在は総額300万円にまで膨らんでいる。

 

1社当たりの債務は30〜50万円程度。

 

窮状を飲み屋で話したところ、マスターが知り合いのX弁護士に相談した。

 

X弁護士は多忙だったので、後輩の甲弁護士に依頼。

 

こうして、依頼者乙野は甲弁護士の事務所を訪ねることになった。

 

初回面談

挨拶の後、甲弁護士は家族構成や収入を確認する。

 

乙野は40歳で、妻と二人の子がおり、手取りは30〜35万円程度。

 

甲弁護士が借金の理由を聞くと、生活費とのこと。

 

ギャンブルや風俗にはまって浪費していないか、正直に言ってほしいと念を押す。

 

これはこの種の借金の場合は自己破産しても免責にならないため。

 

自己破産という方法が使えるかどうか、最初に確認するということをこの弁護士もしている。

 

借り入れ状況をざっと聞いた後、甲弁護士は「受任通知(介入通知)」について説明する、

 

弁護士が金融業者に通知を送るだけで取り立てが止まると聞いて、乙野は大変驚く。

 

乙野は返済は続けた方がいいかと尋ねるが、甲弁護士は一切の返済を止めるように指示する。

 

これは、直前に一部の債権者にだけ返済していると、破産申し立てが認められなくなる危険があるため。

 

月々の返済がなくなれば、十分暮らしていけると乙野は喜ぶ。

 

乙野は債務整理が会社に知られることを恐れているが、甲弁護士はその心配はないと説明する。

 

最後に甲弁護士は過払い金について説明する。

 

債務が軽減される可能性を知って、乙野は大変喜ぶ。

 

弁護士の作業1

甲弁護士は打ち合わせの後、その日のうちに介入通知を送付する。

 

借入先の中に支払日が迫っているところがあり、介入通知が支払日より後に着くと、信用情報に「延滞」と記録される危険がある。

 

そのため、速達で出す念の入れよう。

 

本には介入通知の書式見本が収録されており、その中で甲弁護士は取引履歴の開示を求めている。

 

10日後にはほとんどの会社の取引履歴が届き、それをもとに甲弁護士は過払い金の計算を行う。

 

予想通り大きな過払い金が発生して自己破産を回避できそうな手応えを得る。

 

2回目の面談

甲弁護士は、過払い金が借金総額を超えていることを説明する。

 

乙野は破産しなくて済みそうなので、大喜びする。

 

甲弁護士は、相手のあることなのでこちらが決めたとおりになるとは限らないと断った上で、今後の方針を説明する。

 

  • まず、支払いをしないといけない会社と過払い金を請求できる会社に分ける。
  • 支払いをしないといけない会社は、半額を目標に減額を求めていく。
  • 過払い金は任意の交渉からはじめ、埒が明かなければすぐに訴訟に移行する。

 

交渉の方針は弁護士ごとに特色があるとのことなので、必ずこうするというものではないらしい。

 

乙野はなぜ過払い金が借金総額を超えているのに、なぜ全業者に全額返済しないのかと尋ねる。

 

甲弁護士は、過払い金を全額回収できるとは限らないので、それを当てに交渉するのは危険だと説明する。

 

この後で甲弁護士は弁護士費用について説明する。

 

この先生は着手金は取らず、回収した過払い金や減額した債務の中から一定割合の報酬金をもらうという。

 

交渉の種類によって割合は違うが、小分けを省くと10%〜20%。

 

弁護士の作業2

甲弁護士は過払い金が発生する業者に請求書を送る。

 

また、まだ取引履歴を開示してこないZ社に開示請求書を送り、その中で応じなければ行政処分を求めるとほのめかす。

 

本には「不当利得返還請求通知書」と「開示請求書(内容証明)」の見本が収録されている。

 

弁護士と金融各社の交渉

 

A社との交渉

最も多額の過払い金が生じている借り先の担当者から電話があった。

 

310万円余りの請求に対して、150万円で許してもらえないかという回答。

 

甲弁護士はにべもなく突っぱねる。

 

請求額との開きが大きいので、訴訟の準備を始める。

 

訴状を作成し、乙野の委任状が届き次第、提訴する予定。

 

本には訴状の見本を収録。

 

C社との交渉

これも先方から電話。66万円の請求に対し、60万円でどうかとの打診。

 

甲弁護士が65万円と再提案すると、検討するとのこと。

 

甲弁護士が依頼者に電話

A社、C社への方針を打ち合わせるために、甲弁護士は乙野に電話する。

 

A社は提訴するので、送付する委任状に署名して返送してほしいと依頼。

 

本には委任状のサンプルを収録。

 

C社の状況を報告すると、乙野は60万円以上なら和解OKとの回答。

 

K社との交渉

甲弁護士はK社に電話する。

 

ここは過払い金がなく、残元金15万+利息2万円の支払いが求められている借り先。

 

甲弁護士は支払いを5万円に減額することを提案。

 

相手は破産の予定や過払い金の発生について聞いてくるが、甲弁護士は答えられないと回答。

 

相手は提案を検討するとのこと。

 

C社との交渉

相手が電話してきて63万円でどうかという。

 

甲弁護士が支払日を訪ねると、来月末というので、今月末でないと応じられないと回答。

 

さらに金額は63万5000円とし、振込手数料の負担を求め、14.6%の遅延損害金条項も飲ませる。

 

細かいことまでしたたかに要求する弁護士の交渉ぶりに感嘆させられる。

 

相手は要求を了承したので、甲弁護士は和解案の合意書をFAX送信する。

 

本には合意書見本を収録。

 

相手は同意書を確認し、原本2部の郵送を求める。

 

依頼者への電話報告

甲弁護士は乙野に、C社と和解が成立して今月末に63万5000円が振り込まれる予定であることを報告。

 

また、裁判所から連絡があってA社の裁判の日取りが決まったことを報告。

 

K社との再交渉

相手から電話があり、10万円の支払いを提案。

 

甲弁護士は、一括払いで7万円を提案し、相手は検討するとのこと。

 

A社との再交渉

訴状を受け取った相手が電話してきた。

 

180万円を提案するが、依然要求との開きが大きい。

 

甲弁護士は裁判で判決をもらうしかないと回答する。

 

A社の件の裁判

甲弁護士は裁判所に出頭。A社の担当者は来ていない。

 

裁判官は来月10日に判決を出すと決定。

 

K社との交渉 その3

相手が電話してきて8万円でどうかというのでOKする。

 

しかし、支払い期日を少しでも延ばすよう粘る。

 

送付する合意書では振込手数料を相手持ちにし、遅延損害金条項も消しておく。

 

甲弁護士はせこいくらい依頼者の利益最大化に尽くしている。

 

依頼者へ電話報告

甲弁護士は乙野に電話し、K社と和解できたことを報告。

 

今月末にC社から振り込まれる63万円から、来月10日にK社に8万円支払うことの許可を取る。

 

A社の裁判が終わり、来月に判決が出ることも報告。

 

A者との交渉 その3

判決が届いたA社から、再度和解申し入れの電話が入る。

 

甲弁護士は250万円を突っぱね、285万円も突っぱね、もう執行するだけと答える。

 

相手は上司と相談して295万円を提案してくる。

 

甲弁護士は今月末の支払いならその金額でOKと答え、和解が成立する。

 

依頼者との面談 その3

ほぼすべての交渉を終えたことを報告。

 

過払い金を回収できていない相手が1社あるが、破綻間近と噂のある先で回収は現実的でないと説明。

 

回収は総額で500万円ほど、支払いは6割程度に圧縮できた。

 

回収額や圧縮額の約20%を弁護士費用として差引き、残額を乙野の口座に振り込むと説明、乙野は了承する。

 

一時は自殺も考えたのに、借金がなくなった上にお金までもらえて、と乙野は大変喜び、感謝していた。

 

 

 

なまなましいプロセスを追体験できました。

 

これは過払い金が大きかったために、任意整理が非常にうまく行った例です。

 

しかし、せこいほどに細かい点までしぶとく交渉する弁護士の姿にも感銘を受けます。