5分でわかる任意整理の概要
任意整理という借金問題解決方法をわかりやすく解説しているサイトです。
4つある債務整理(=借金の減額や帳消し)の方法の中で、一番簡単で傷が浅い方法なのでおすすめです。
「元金だけなら返済できるかも」という比較的軽症の過剰債務なら、自己破産より任意整理にするべきです。
「多分もっと重症」という人も任意整理に持ち込める可能性はあるので、最後まで読んでください。
任意整理の手順、メリット、使える条件、おすすめの法律事務所などを紹介していきます。
また、任意整理が無理だった場合の代替手段も紹介しています。
任意整理とは?
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と交渉して、返済額の減額をを認めてもらうものです。
自己破産などは裁判所を介するので「法的整理」と呼ばれますが、任意整理は当事者同士だけの交渉なので「私的整理」と呼ばれます。
私的整理なので減額の仕方に法の定めはないですが、多くの事例蓄積を経た結果、次の方法が一般的になっています。
任意整理の一般的な内容
- 未払いの利息はあきらめてもらい、払わない。
- 現時点の元金だけを原則3年の分割払いで返済する。
このように任意整理は、定収入があって返済計画が立てられるのが前提です。
無職・無収入の人は当然無理であり、自己破産しかありません。
任意整理の例
依頼者は、6社から年利20%で合計180万円の借入がある。
各社への返済は毎月1万5000円で、1.5万円×6社=月々9万円が払えなくなって弁護士に相談に行った。
今後の利子をカットし、元金のみを3年で完済する任意整理だと月々の返済額は5万円になる。
(12カ月×3年=36カ月 180万円÷36カ月=月々5万円)
依頼者はこれなら払えるというので、弁護士が交渉したところ、6社とも合意、返済がスタートした。
月々5万円を3年間払い続けることで任意整理は完了し、借金はゼロになる。
将来利息カットの条件に加え、一括払いにすることで元金のさらなる減額を認めてもらうこともあります。
上の例で言うと、「一括返済するから180万円を170万円に下げてくれないか」といった交渉です。
家族親族が一括返済の資金準備に協力してくれる場合には、この方がさらに有利です。
ただ、最近は一括返済でも元金減額の条件を飲んでくれる場合は少なくなったようです。
任意整理の利点1 持ち家を残せる
任意整理は債権者を平等に扱う必要がありません。
ここが個人再生や自己破産(この2つは後で説明します)といった法的整理との一つの大きな違いです。
法的整理では「債権者平等の原則」が絶対なのです。
任意整理ではそうではないので、ある借金は整理するけど、別の借金は払い続けるということが可能です。
つまり、住宅ローンは払い続けるけど、消費者金融には任意整理に応じてもらう方向で交渉できます。
例えば、家を売っても住宅ローンが残る場合は売ることもできません。
こんな人を住宅ローンを払えない状態に追い込めば自己破産し、元金も消えてしまいます。
住宅ローンは払わせて今の生活を続けさせ、任意整理で元金だけでも回収した方が得です。
というわけで、こういう場合、債権者は納得してくれる可能性が高いです。
任意整理の利点2 借金の原因を問われない
借金の主な原因がギャンブル、風俗、ショッピングなどの浪費である場合、法的整理はNGです。
個人再生は許可されないし、自己破産では借金帳消しになる「免責」が下りません。
しかし、任意整理では借金の原因は問われません。
任意整理では債権者が整理案に合意するかしないか、問題はそれだけです。
債権者がOKと言えば、借金の原因が何であっても任意整理は可能なのです。
任意整理の何が「任意」なのか?
さて、任意整理が何をすることかは理解できたと思いますが、債権者に協力の義務はありません。
自己破産などの法的整理は強制力がありますが、私的整理は債権者の合意ありきなのです。
このように任意整理は強制力のない方法なので、断られる場合もあります。
応じる場合もあくまで任意です。
断る権利もあるのだけれど、任意で、つまりあえて自分の意志で債務整理に協力してくれる。
「任意」とは債権者の「任意」なのです。
では、元金も利子も要求し続ける権利があるのに、なぜ債権者は任意で債務整理に応じるのか?
それは「この人はもう利息まで払う能力がない。自殺や自己破産で全部パーになる前に、元金だけでも取り戻した方が得だ。」と判断するからです。
誰に交渉を頼めばいいのか?
任意整理の依頼先は、法律家(弁護士または司法書士)です。
法的には債務者が自分で交渉しても構わないが、応じる債権者はいません。
借り手が「利子は無理なので元金だけにしてください。」と言ってくるのにホイホイ応じていては、金貸しの商売は成り立ちません。
法律家が間に立つからこそ応じるのです。
法律家が入ってきた以上、無理な取り立てをすれば違法行為であり、貸金業の許可を取り消され、刑事罰を受ける可能性まであります。
また、任意整理の交渉に入る前に、依頼した弁護士は収入、支出、銀行預金をはじめとする資産を全部チェックします。
だから、本当は返済に回せるお金をたくさん隠し持っているんじゃないかという疑いはとりあえず排除できます。
月々の収入や支出に照らして本当に計画通り返済できそうなのか、も弁護士がチェック済みなので、返済計画には一定の信頼性があります。
だからこそ「まあ、しょうがないか」と応じるのです。
実際に任意整理に応じてもらえるのか?
「任意整理とはどういうことか?」はだいたい分かったと思います。
法律家に頼まないといけないこともわかりました。
しかし、依然として「強制力がない」点が引っかかるかもしれません。
せっかく先生に頼んでも、相手が応じてくれなかった場合はどうするのか?
そういう心配もありますが、うまく行くことが多いからこの制度が成り立っているのです。
まず、銀行や大手消費者金融は、弁護士から連絡が入ったら淡々と事務的に応じるのが普通です。
任意整理はあなたの人生では大事件であっても、彼らにとっては日常的なトラブルにすぎません。
そんな少額のことで揉めても手間がかかって企業イメージが悪くなるデメリットしかないので、極力簡単に済ませます。
揉めるとしたら中小の金貸しと個人からの借金です。
しかし、債権者全員と交渉に成功する必要はないのです。
応じてくれる相手にのみ応じてもらい、総額としてあなたの借金問題が解決すればそれでいいはずです。
逆に言うと、全体の解決に向けて戦略を立てられる経験豊かな弁護士に頼まないとダメです。
任意整理のメリット・デメリット
ここまでわかったところで、任意整理のメリット・デメリットを整理しておきましょう。
メリット
1.取り立てが止まる
依頼を受けた法律家はすぐに債権者に「受任通知」を送ります。
郵送が原則ですが、うるさい取り立て先にはFAXで先に速報しておいてくれたりもします。
受任通知を受けた後に取り立てをするのは違法です。
だから、最短では受任当日に、遅くとも数日以内に取り立ては止まります。
冷静に物事を考えられる環境が取り戻せるだけでも大きいです。
2.生活に支障なく返済できる
先に述べたように、家や車を残して今まで通りの生活をしながら、返済していくことが可能です。
これは自己破産との大きな違いです。
3.人に知られず債務整理できる
自己破産や個人再生を申し立てると、「官報」という政府の日刊紙に名前が載ります。
ただ、官報の読者は金融業の債権回収担当、債務整理を扱う弁護士、闇金など特殊な職業の人だけです。
あなたもこれまでの人生で「官報」など見たことも聞いたこともないでしょう?
だから、官報に載ったために周囲の人に知られる可能性は非常に低いです。
しかし、あなたの経済状況に疑いを持った人が調べようと思えば調べられるわけです。
これに対し、任意整理なら近所や職場はもちろん、家族にも完全に秘密で行えます。
4.自己破産よりイメージがいい
自己破産については後で説明しますが、実際以上に悪いイメージを持っている人がいます。
まるで犯罪者、人間失格みたいに捉えていて、その後の人生も一生悲惨な境遇から抜けられないと信じている人がいます。
実際は全然違うのですが。
しかし、世間にそう思っている人がいるのは事実ですから、万が一周囲にバレた場合も任意整理の方がイメージはマシです。
また、自己破産後の人生の実際がどうであれ、周囲から「自己破産者」と見られることが耐えられないという人もいます。
あるいは、周囲がどう見るか以前に自分で落ち込んでダメージを受けそうだという人も少なくない。
そんな人も任意整理なら心の傷が浅くて済むでしょう。
デメリット
完済後5年は新たな借り入れができなくなる
任意整理を申し入れた時点で金融業者が共有する信用情報に記録されます。
いわゆるブラックリストに載る状態です。
その後、完済後5年まで載り続けます。
返済期間3年+完済後5年=合計8年間。
その間はクレジットカードが作れなくなり、分割払いやローンも組めなくなります。
しかし、それはやらかした失敗のみそぎの期間と割り切りましょう。
少なくとも返済期間中は、カードの買い物や借金はできないようになっている方がかえって好都合でもあるはず。
「なんでクレジットカード、持ってないの?」と聞かれたら、「浪費につながるので主義として作ってない」と答えればいいのです。
債務整理経験者でなくても、そういう人は大勢います。
あるいはデビットカードなら作れるので、それで「カードを持ってる感」を演出することも可能です。
なお、ブラックリストは金融業者が自衛のために「お金を貸すと危ない人」をマークしているものです。
任意整理経験者は完済後5年間はお金を貸してはいけないという法律があるわけではありません。
だから任意整理完了後にあなたの経済状況が大きく改善すれば、5年を待たずに対応してもらえる可能性もあります。
例えば、起業でV字復活を果たせば、その可能性が高いでしょう。
このように、任意整理は非常にメリットの多い債務整理方法なので、一番多く用いられています。
任意整理に持ち込む方法
「元金だけなら返済できるかも」という比較的軽症の過剰債務なら、間違いなく自己破産でなくて任意整理です。
しかし、「利子をカットして元金だけの返済」にしても3年で完済は無理、という人は任意整理は不可能なのでしょうか?
まだ打ち手はあるので、それを紹介します。
1.過払い金を差し引いて元金を減らす
「過払い金」のことはテレビのCMで聞いたことがあると思います。
CMの説明どおり、「払いすぎた利息」を返してもらうことです。
2010年の貸金業法改正以前は「グレーゾーン金利」といって、違法ではあるが罰則のない高金利ゾーンがありました。
この時代に払った金利のうち、利息制限法の上限を超えた分は請求すれば返還してもらえることになりました。
これが「過払い金」です。
過去の取引履歴を取り寄せて過払い金の計算をすることを「利息の引き直し計算」と言います。
過払い金で救われる例
借金に苦しむある人が、月々の返済に回せるお金は5万円が限度だとします。
3年で完済できる額は、5万円×12カ月×3年=180万円。
だから、この人が任意整理できるには現在の借入額が180万円以下でなくてはなりません。
しかし、実際には借金は250万円だったとしましょう。
このままでは任意整理は無理ですが・・・
ケースA: 過払い金が80万円あった場合
250万円−80万円=170万円
元金が180万円以下なので任意整理が可能になります。
ケースB: 過払い金が200万円あった場合
250万円−200万円=50万円
この人の場合、元金が50万円なら任意整理などしなくても利子も払いながら普通に返していけるはずです。
ケースB: 過払い金が280万円あった場合
250万円−280万円=▲30万円
現在の250万円の借金は過払い金で完済でき、借金ゼロになります。
さらに30万円の現金が手に入ります。
(以上の計算は、簡単のため弁護士の過払い金成功報酬を省いています。)
このように、過払い金があった場合、事態は大きく改善する可能性があります。
昔から長い間消費者金融と取引していた人は大いに可能性があるので、ぜひチェックすべきです。
利息の引き直し計算は今は標準手続き
実は、今では利息の引き直し計算は債務整理を受任したら、真っ先にすることになっています。
受任通知の中で過去の取引履歴も請求し、資料が届き次第、利息の引き直し計算をするのが普通の手順になっています。
だから、債務整理に経験のない弁護士でない限り、わざわざお願いしなくてもやってくれるはずです。
が、一応の確認のために、「まず、利息の引き直し計算はしていただけるんですね?」と確認しておきましょう。
2.親族などに助けてもらい、元金を減らす
親などがお金を出してくれて元金を減らせれば、任意整理に持ち込める可能性があります。
上記の例と同じ設定で「250万円なんて大金、うちの親は絶対助けられない」とあきらめていたとしましょう。
しかし、70万円出してもらえば元金は180万円になり、任意整理が可能になります。
これなら可能性は出てきませんか?
思い切ってすべてを打ち明けて、お願いしてみてはどうでしょうか?
父親へのお願い
「お父さん、今回は返せない借金を作ってしまってごめんなさい。」
「このままだと自己破産するしかないので、助けてください。」
「250万全額助けるのがうちの家計で無理なのはわかっているし、自分に責任があることなのでそんなことまで求めません。」
「しかし、70万円だけ助けていただければ、任意整理という方法で自己破産を避けられます。」
「70万円なら何とかなりませんか?」
「助けていただいたら、残りは必ず自力で完済し、今後は二度と無茶な借金をしないと誓います。」
親もわが子を破産者にはしたくないから、できるだけのことはしてくれるはず。
こちらの可能性もぜひ探ってみてください。
3.支払い期間を延長する
任意整理の返済期間は3年が原則ですが、最長は5年が認められた例もかなりあります。
自己破産は絶対避けたくて長期の節約生活を耐え抜く覚悟と自信のある方は、弁護士にこの方向で交渉してもらいましょう。
債権者はなかなか応じないかもしれませんが、可能性はあります。
任意整理は常に自己破産よりベターなのか?
ここまで任意整理のメリットを説明し、任意整理が難しい場合も切り抜けて任意整理に持ち込む方法を説明しました。
しかし、任意整理は常に最善の方法なのでしょうか?
どんなに無理をしてでも自己破産を避けて任意整理を選ぶべきなのでしょうか?
実はそうではないということを説明します。
3年の間にはいろいろなことが起きる
人生では急な収入減や思わぬ出費が必ず起きます。
小さいイレギュラー変動はしょっちゅうです。
小さなイレギュラー
- 今月は残業代がいつもより1万円少ない。
- ボーナスがいつもの8割くらいしかない。
- 恩人の葬儀に欠席するわけにいかず、香典と交通費で1万円の出費だった。
- 酔った勢いで忘年会の二次会につきあってしまい、予算を5000円オーバーした。
任意整理の返済期間は3年ですが、3年もあるとさらに大きなイレギュラーに見舞われる可能性も出てきます。
比較的大きなイレギュラー
- 事故に遭い、入院し、その間、治療費がかかって収入が減った。
- 子供が急病で入院し、かなりの治療費が必要になった。
- 親が倒れ、介護せざるを得なくなった。
- 仕事で使っている車が壊れ、修理費がかかった。
- 冷蔵庫や洗濯機など、生活必需の家電が次々に壊れて、買替を余儀なくされた。
- 台風で瓦が飛ばされ、床上浸水もあったので、修繕費がかかった。
- 会社の業績悪化でボーナスがゼロだった。
あまりにも余裕のない計画だと、こうした大小のイレギュラーで返済資金が足りなくなります。
返済が何カ月も、あるいは何回も滞れば、任意整理は破綻します。
和解の契約書には1回でも滞納したら即一括返済と書かれていると思いますが、どれくらい厳しくやるかは債権者の姿勢で変わります。
途中で返済不能になったらどうなるのか?
先ほどの例で挙げた、元金180万円を月々5万円、3年(36カ月)がかりで返済するケースで考えてみましょう。
あまりに余裕のない返済計画だったため、折り返し地点の1年6カ月(18カ月)後に返済不能に陥ったとします。
この時点で元金が90万円残っており、債権者は一括返済を求めてきます。
月々5万円が払えなくなっているのに、90万円一括返済なんて絶対ムリです。
再和解という選択はありますが、実際には難しく、自己破産しかない可能性が高いです。
しかし、自己破産にも弁護士報酬などの費用がかかります。
また、自己破産は10年間ブラックリストに載るので、ここまでの1年半と足すと11年半。
返済不能になって悩んだり、自己破産申立ての準備をしている間にあっという間に半年経ちます。
全期間を足すと、12年くらいブラックリストに載ることになります。
これまでの1年半に返済した90万円も無駄になります。
こんなことなら最初から自己破産して借金を全額帳消しにし、返済に充てた90万円を自分のために使った方がよかったということになります。
ブラックリストに載る期間もその方が短くて済みました。
任意整理が途中で破綻した場合のデメリット
- そこまでの苦労と返済金額がムダになる
- 自己破産等の費用が改めて必要になる
- ブラックリストに載るトータル期間が延びる
自己破産の方がよい場合もある
このように、どんな場合でも何が何でも任意整理がよい方法ではないのです。
あまりに余裕のない返済計画は途中で破綻する危険大です。
いっそ今、腹を括って自己破産し、無借金から再スタートした方がよいかもしれません。
5年とか、返済期間を引き延ばすのも、かわりにこういう観点から安易に賛成しかねます。
3年でもかなり長いのに、5年はあまりに長い。
その間、何もかも我慢する生活を本当に耐えることができますか?
その間、大きなイレギュラーが何も起きないと思いますか?
自己破産は決して楽なものではないですが、世間で思われているほど悲惨なものでもありません。
そろそろ先入観を捨てて、任意整理も自己破産も含めて色々な債務整理方法を知る時です。
その中で自分が不幸になる確率が一番低いものを選べばいいのです。
任意整理以外の方法
ここでは視野を広げて、任意整理以外の債務整理方法も見てみましょう。
債務整理の4方法
債務整理の方法は、次の4つがあります。
- 任意整理
- 個人再生
- 特定調停
- 自己破産
任意整理以外の3つの方法を概観してみましょう。
個人再生
任意整理の場合、過払い金を差し引いた後の元金を利子をつけずに分割払いします。
しかし、個人再生の場合は、一般的に元金を20%に減額します。(厳密には減額の率は債務総額によって変わる)
つまり元の1/5の金額だけを分割払いします。
大幅に債務が減る一方で、一定の条件を満たすと持ち家も残せます。
こう書くと任意整理よりおいしいですが、現実にはハードルが高いです。
- しっかりした安定収入が必要
- 月々の返済原資が十分取れて、計画に実現性があることが必要
- 審査が複雑で厳格(許可前にリハーサル的なものがある)
あと、「精算価値補償原則」というものがあって、返済額は清算価値(破産して財産を処分した時の額)を下回ることが許されません。
これは破産させるより再生させた方が債権者の利益になる場合のみ、再生を許可するということです。
だから、住宅ローンがない、もしくは残りわずかな家を残すのは無理で、その場合は「まず家を売って返済に回しなさい」と言われます。
しかし、住宅ローンがたくさん残っていて、売ってもローンが残る(オーバーローン状態)ような人にはとてもいい制度で、マイホームを守りながら、再起を果たせます。
もう一点、個人再生は途中で返済に挫折すると、法律で強制的に自己破産に移行させられる厳しいものであることも知っておいてください。
特定調停
自分で簡易裁判所に行って調停委員の指導の下に進める債務整理です。
個人再生や自己破産は裁判所が主導するのですが、特定調停では裁判所は指導するだけで、実行するのは債務者本人です。
裁判所に通い、煩雑な書類作成も自分でする必要があります。
自分でできるので、確かに弁護士費用は節約できます。
しかし、最初の申立て書類を作るだけで何カ月もかかる人が結構いるようです。
その間、取り立ては止まりません。
他の3つの債務整理方法なら弁護士に頼んだ途端、取り立てが止まるのと大違いです。
また、申立てから調停成立まで3〜4カ月かかり、その間の利子や延滞遅延金は止まりません。
プラスマイナスを総合すると費用の面でどれくらいメリットがあるか疑問です。
しかも、調停が成立する確率は、申立て数に対してわずか3%という実績です。
100件中97件は骨折り損に終わって、改めて別の債務整理方法を検討するハメになっているのです。
こういうわけで利用者は近年、激減傾向にあります。
あまりおすすめできない方法です。
自己破産
金利をなくせば元金を3年で返せるなら任意整理。
金利なしでも返済不能なら個人再生か自己破産です。
個人再生でも返せない程の借金とか、無職・無収入の場合は自己破産です。
自己破産すれば、持ち家・車を含めて今持っている財産のほとんどを持っていかれはしますが、新たなスタートが切れます。
借金は全部帳消しになり、その後に入ってくるお金はすべてあなたのものです。
任意整理や個人再生は、3〜5年のつらい節約・返済生活を耐え抜く必要があります。
しかし、自己破産は即リセット・再出発なのです。
破産手続きの流れ
弁護士が受任通知を送った時点で取り立ては止まります。
弁護士があなたの状況を調べて準備ができたら裁判所に破産申し立てをし、破産手続きが始まり、あなたは破産者となります。
破産手続きは、財産がほとんどない人の場合で半年くらい(同時廃止)、換金できる財産がある人の場合で1年〜1年半(管財手続)。
申立て件数の9割が同時廃止で、ほとんどの人は半年で完了するのです。
破産手続きの間だけは旅行が制限されたり、郵便物を管理されたりします。
職業制限もあります。(弁護士、警備員、保険外交員、宅建士などは破産者NG)
しかし、それも破産手続きの間だけ。
それが終われば、「免責」が下りて借金はゼロ、同時に「復権」となってもう破産者ではありません。
旅行の制限も郵便物管理も職業制限も終わりです。
破産したら一生破産者なのではなく、半年〜1年半の間だけのことなのです。
自己破産後の生活のデメリット
自己破産しても、その後の生活のデメリットは一般に思われているほどではありません。
住民票や戸籍に記録される、選挙権がなくなる、免許証を取り上げられる、などはデマです。
10年間ブラックリストに載り、クレジットカードが作れないとか、ローンが組めないことぐらいです。
「官報」という政府刊行の日刊紙に名前が出ますが、そんなものは特殊な職業の人しか読まないので、人に知られる可能性は低いです。
(ヤミ金融は官報を見て破産者に営業をかけてくるので、注意してください。)
破産手続きの間だけ役所の「破産者名簿」に載りますが、一般人は閲覧できないので、これも大丈夫です。
免責不許可になる場合
自己破産で一番大事なのは、手続きの一番最後に下りる「免責」です。
破産を申し立てたら借金が帳消しになるのではなく、最後に免責が許可されて初めて帳消しになるのです。
しかし、免責が下りない場合があるので注意が必要です。
- 借金の主因がギャンブル、風俗、ぜいたく品などの浪費である場合
- 財産を隠そうとした場合
- 破産前に一部の債権者(例えば親とか)に優先的に返済した場合(偏頗弁済)
非免責債権
免責で帳消しになるのは普通の借金だけです。
滞納している税金、社会保険料、罰金(例えば交通違反の)などはなくならないので注意してください。
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以上のように、自己破産は世間で思われているほど恐ろしいものではないのです。
自己破産は残念ではありますが、闇金に手を出したり、自殺したりするよりはるかに良い選択肢です。
自己破産から復活した人はいくらでもいます。
実際に法律家に頼むとどうなるのか?
ここまでの説明で、あなたの借金問題解決に必要な知識は全部示しました。
あとは実践あるのみです。
素人がこれ以上ああでもない、こうでもないと悩んでもムダで、法律家に相談してみないと何も始まらない。
しかし、法律家というのはなじみがなく、ハードルが高い感じがします。
お高いんじゃないか、返済に困ってる状況なのに、弁護士に払うお金なんかない、とか。
叱られるのでは?話が難しくてついていけないのでは?といったことを心配する人もいます。
弁護士と司法書士のどっちがいいのか、という問題もあります。
この辺のモヤモヤを取っ払う話をしましょう。
最適な債務整理方法は専門家が提案
債務整理の方法について、素人のあなたが必要以上に悩む必要はありません。
法律家があなたの状況を調べて最適の方法を提案してくれます。
任意整理が希望ならそれだけ伝えればいいのです。
できるだけ、希望に沿えるようにいろいろ考えてくれます。
過払い金の計算はもちろんしてくれるし、家計の見直しで返済原資を増やす提案もあるかもしれません。
しかし、どうしても無理な場合は無理なのです。
また、あまりにも余裕がない計画では、すでに述べたように結局途中で挫折して、改めて自己破産することになりかねません。
逆に「自己破産しかない」とあきらめていたのが、過払い金を計算してみるとそれが大きくて救われることもあります。
破産しなくても任意整理でいけますよとか、すでに借金は完済ですよ、とかです。
とにかく、これ以上の事は専門家が調査してみないとわからないのです。
法律家に依頼した後の流れ
弁護士や司法書士は敷居が高いと感じがちですが、債務整理に力を入れている事務所はたいて初回の相談は無料です。
正式に依頼して契約書を交わすまではお金はかからないので、情報収集を兼ねて気軽に電話してみましょう。
ここでは依頼した後にどうなるのかを説明します。
1.受任通知と取引履歴請求
法律家は受任するとすぐに、債権者に対して「この人の債務整理を引き受けましたよ」というお知らせを出します。
郵送ですが、取り立てがうるさい相手は先にFAXで送ったりもしてくれます。
受任通知到着後の取り立ては違法なので、早ければ即日、遅くとも数日内に嘘のように取り立てがストップします。
受任通知の手紙の中で、同時に過去の取引履歴を送ってくれるよう依頼します。
各社から資料が全部届くのに普通は一カ月くらいかかります。
受任とともに返済はストップするので、手元資金に余裕ができ、弁護士報酬の支払い原資が作れます。
2.債権や家計の調査
依頼者はどこからいくら借りているか一覧表と、すべての契約書、ローンの利用明細、督促状などを法律家に提出します。
貯金通帳や住宅ローンの資料なども求められます。
個人再生や自己破産も予想される場合は、提出物はもっと増えます。
収入や支出の状況も聞かれ、家計簿をつけて提出することを求められたりします。
これは月々の返済原資がどれだけ確保できるかを知るためです。
事態の深刻度や予想される債務整理方法の種類によって、この調査は簡単になる場合も徹底したものになる場合もあります。
3.利息の引き直し計算
借入先から取引履歴が届いたら、法律家が過払い金の計算をします。
4.方針決定
借入状況、収入と支出から出る返済原資の状況、過払い金の状況などを総合し、最適の債務整理方法を選びます。
任意整理、個人再生、自己破産のどれにするのかということです。
法律家は依頼者によく説明し、合意を得ます
5.アクション
任意整理を選んだ場合は、法律家が債権者と交渉を始めます。
銀行や大手消費者金融は話がつきやすく、早ければ翌月末から返済が始まります。
揉めるところが出て長引く場合もありますが、順調にいけば1〜2カ月で返済が始まると考えてください。
個人再生や自己破産を選んだ場合は、裁判所に申し立てをします。
申立てに必要な書類の準備は法律家がしてくれるし、裁判所へも同行してくれるので心配は無用です。
個人再生の場合、返済が始まるのは申立てから6カ月後くらいです。
自己破産の場合、申立てをしてから、同時廃止なら半年、管財手続なら1年〜1年半くらいで免責・復権となり、晴れて借金ゼロです。
弁護士か、司法書士か?
司法書士も任意整理はできますが、扱える個別の債権額の上限があるなど、業務範囲に制限があります。
弁護士には制限は一切ありません。
そういう意味では弁護士に頼むのが確実です。
しかし、実際には知名度による安心感や事務所の立地も考慮して選ぶ方が多いです。
例えば、アヴァンス法務事務所は司法書士事務所ですが、テレビCMで圧倒的な知名度があります。
また、東京と大阪に事務所があるので、関東の方も関西の方も利用しやすい。
そのため、当サイトの紹介先の中でアヴァンスを選ぶ方はかなり多いですが、受任後のトラブルも特に聞きません。
そういう意味では、司法書士であっても知名度と経験のある事務所なら何ら問題ないと思います。
まずは無料相談してみて、信頼感の持てる法律家を選べばいいのではないでしょうか。
法律事務所への支払い
法律家に相談するに当たって一番の心配は報酬の支払いでしょう。
返済に追われてスッカラカンなのに、この上どうやって報酬を払うのか?
しかし、それは払って行けるようにうまくできているのです。
そうでなければ誰も債務整理なんかできません。
無料相談
普通、弁護士は法律相談をするだけで報酬が発生するものです。
しかし、債務整理の依頼者はお金がないことはよくわかっているので、債務整理に力を入れている弁護士は初回相談は無料のところも多いです。
何回でも無料相談できる弁護士事務所もあります。
返済停止で生まれる資金的余裕
それから弁護士への依頼と同時に、借り入れと返済が停止することを忘れてはいけません。
どの債務整理方法を取るにしても、弁護士の準備作業が完了するまで受任から2〜3カ月かかります。
その間は返済が停止しているのでお金に余裕ができます。
任意整理の場合は、準備が整って交渉を開始すると1〜2カ月で返済が始まります。
だから準備期間と合わせて返済が止まっている期間が3〜5カ月あります。
個人再生の場合、順調に進んでも返済が始まるのは申立てから6カ月後ぐらいです。
準備期間と合わせると、返済が止まっている期間が8〜9カ月あります。
自己破産の場合、順調に免責が得られると仮定すれば、受任の後は返済は一切不要です。
こう考えると、収入がある場合は、返済が止まることでかなりの資金的余裕が生まれ、法律家や裁判所への支払いが可能になってきます。
成功報酬
債務整理の報酬のうち、過払い金については成功報酬を設定している場合が多いです。
過払い金が取れた場合にのみ、そこから報酬を支払うのでこれは楽です。
分割払い
債務整理をやっている法律事務所はたいてい分割払いに対応しています。
相談時に手持ち資金がゼロでも、大丈夫です。
借金苦に陥っている人はたいていそういうもので、珍しい事ではありません。
あなただけが特別なわけではないので、お金がなくても引け目など感じずに連絡してみましょう。
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以上のことから、法律家への報酬は何とかなるものだというのがわかると思います。
結論
先にも触れましたが、どの債務整理方法をとっても滞納している税金や社会保険料は帳消しにも減額にもなりません。
任意整理や個人再生はもちろん、自己破産してもこれらは一生支払いを求められるのです。
もし、あなたが税金や社会保険料を滞納しながら、取り立てのうるさい相手に返済しているなら、優先順位を完全に間違えています。
もう完済不能とわかっているなら、貸金業者へのこれ以上の返済はムダであり、一刻も早く法律家に頼んで返済を止めるべきです。
そして返済停止でできたお金で、滞納している税金や社会保険料を少しでも減らしましょう。
同時に弁護士への支払いもして債務整理を進めてもらいましょう。
もうムダな返済はやめて、自分の未来につながることにお金を使うのです!!
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