月々の返済額を減らせるが注意も必要
「おまとめ」とは、複数の借り入れ先の借金を一つの借り入れ先にまとめることです。
借金の総額は変わりませんが、月々の返済額を減らして楽にできることがあります。
これは「債務整理」とは呼びませんが、借金問題の改善に役立つテクニックなので、ここで説明します。
おまとめローン商品
借入先を一つにまとめることができれば、月々の返済額を減らせます。
まとめ先の金利が低ければ、金利負担も楽になります。
自分でそういう借り入れ先をみつけてまとめるのもいいですが、貸し手が「おまとめローン」を提案している場合も多いです。
内容をよく吟味し、全体的なメリット・デメリットを理解した上でなら、使うのはアリです。
おまとめの注意点
第一に、従来の借入先に過払い金が発生しているかチェックすべきです。
過払い金が発生しているならその分の借金は消えて、借金は減ります。
消さないままおまとめしたら、借金を無用に引き継ぐことになります。
例1
借り入れ先 |
A社 |
B社 |
合計 |
---|---|---|---|
過払い金返還前の残債 |
70万円(過払い金50万円) |
60万円(過払い金30万円) |
130万円(過払い金80万円) |
過払い金返還後の残債 |
20万円 |
30万円 |
50万円 |
上の例でいうと先に過払い金返還をしてもらえれば、130万円の借金が50万円になり、おまとめローン自体必要ないかもしれません。
しかし、先におまとめしてしまえば、おまとめ先に130万円の借金ができてしまいます。
もちろん、過払い金は完済後にも請求できるので、そのお金でおまとめ先に返済したら同じことではないかと考えるかもしれません。
80万円の過払い金返還を受けておまとめ先の返済に回せば、借金は130万円-80万円=50万円になるではないか、と。
しかし、過払い金の請求をしても交渉が難航して時間がかかる可能性もあり、その間は残高130万円に対する金利がかかります。、
また、相手に支払い能力があるとも限らず、極端な場合、武富士のように倒産した場合、過払い金を返還してもらうことはもちろん無理です。
取り戻すのに失敗した過払い金の分は、新たに借金して金利を払っていくのと同じことになります。
これが相手にまだ借金がある状態なら、借金と過払い金を相殺するという形で、比較的処理がスムーズに進みます。
また、この例のように、過払い金を返還してもらったら残債はおまとめローンを必要とするほどでもない、ということになる可能性もあります。
実際に返還請求するかどうかはともかく、常に最初に過払い金のチェックをすべきなのです。
第二に、おまとめ先の金利に注意することです。
従来の借入先に金利の安いところが含まれている場合、おまとめ後の金利はもとの借入先の平均金利より高くなる可能性があります。
例2
A社 |
B社 |
合計 |
|
---|---|---|---|
借り入れ残高 |
120万円 |
50万円 |
170万円 |
金利 |
10% |
18% |
11.2% |
上の例だと120万円借りているA社の金利が安いので、合計借入額の平均金利は11.2%で収まっています。
これを例えば、金利15%の借入先でおまとめした場合、金利負担は4%弱も増えます。
こういう場合、月々の返済額が減るメリットと金利負担が増えるデメリットのどちらが大きいのか吟味する必要がでてきます。
少々の差ならいいですが、おまとめ先の金利があまりに高いと、今度はいつまで経っても返済が終わらないという別の地獄に堕ちる危険もあります。